酩酊(第二章)
私がどういう人間であるかなんて知らねえんだろ、お前さあ。
だったら離れたところから、きたねえ顔を並べて見合わせて
私のことを見て、へらへら笑って揶揄するのをやめろや。
そういう<笑い顔>は威圧だ。
コミュニケーションを抜きにした揶揄なんてのは、卑怯者のやることだ。
私はもっと平和な世界に棲みたかった。
どうして「自分がされたら不快に感じるはず」の物事を
他人に対して平気でやることができる人間がこれほどにも多いのだろう?
ヒエラルキーからもたらされたハラスメントと同じ構図を
さらに下の側に立たせることができそうな対象をめざとく見つけて
押しつけてくる……その神経が私には解せない。
不快を伝染させて自分を慰めることのできる神経ってのが解せない。
苦しむ者の絶対数は少ないにこしたことはない——と感じない人間が
これほどにも多いというのが悲しくてたまらないんだ。